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ASCHIANA&再会

 朝は相変わらずすがすがしい。夜、電気の使える間に充電してあったパソコンの電源を入れ、すぐに昨日のレポートを書く。しかし、バッテリーが上がるまでの間に、午前中分しか書けなかった。遅れれば遅れるほど忘れてしまう。それに、今日一日新しいことが大量に入ってくるはずだ。しかし、電気がなければただの鉄くずだ。こればかりは仕方ない。どれだけ電気に頼った生活をしているかがよく分かる。それと、私はやはり、ニュースを鵜呑みにしている。「首都カブールでは電気もすぐに回復し・・・・」などというレポーターの言葉をそのまま聞いていたのだ。電気が復旧しても、電気が通ってない地域がほとんどなのだ。確かに、電線や電柱などどこにもありはしない。ましてや地下を通っているのは地下水ぐらいのものだろう。またひとつ、反省した。デイビッドと2人で朝食を食べた。ナンにジャムやバターを付けて食べる。これはかなりうまい。まぁ、ナンそのものには味がないのだから、バターやジャムの味そのままだ。これはかなりうまい。そう思う自分がとても幸せに感じる。日本でジャムやバターをそのまま食べることなどなかったからな・・・。インスタントコーヒーを入れた。瓶の中に少し残ったパウダーを、少しだけコップに入れ、お湯もまた少しだけ注ぐ。コップに3分の1ほどのコーヒーが、たまらなくおいしいと思った。突然子どもたちがどたばたと押し掛けてきた。ひとりが泣きじゃくりながらデイビットに駆け寄りベラベラとダリー語でしゃべる。そのあとにどかどかと5〜6人の子どもたちが来る。どうやら、誰がなぐったとかそういう話のようだ。半分以上は野次馬だ。デイビットはちらりとこちらに苦笑しながら子どもたちをつれて外へ出ていった。しばらくして戻った彼は、「あの子が友達をなぐったのはこれで2回目。理由を聞いたが、やはりなぐるのは良くない。今日は家に帰した。明日、言いたいことがあれば聞く。」と。まるで父親だ。子どもたちから信頼されているのがよく分かる。なぜなら、彼らはその言いつけを素直に聞いているのだから。

 朝食を終え、私は自分の洗濯を。その後、ASCHIANAへ向かう。到着後、すぐにユセフしの元へ。例によって不在。あと1時間ほどで戻るらしい。待っている時間を使って、音楽クラスを見に行った。

教室は一番広い部屋を使っていて、かなり開放的な場所だ。交代で同じ曲を何度も演奏して、先生がその都度指導してくれている。子どもたちの表情は、真剣というよりは楽しそうだ。

彼はびっくりするほど上手にたたく。身体の動きも、なにやらプロっぽい。先生が弾いているのは、弦楽器なのだが、ピアノのような鍵盤がついていて、その鍵盤をおさえながら弦をはじくのだ。ギターよりも手軽に弾けそうな楽器だ。音色はシャラシャラとしたきれいな音が出る。

2年前に送った楽器が、きちんと使われている。ピアニカの音は、意外とアフガンの音楽に合う。軽快に弾く鍵盤からは、アフガニスタンの伝統的な曲が聞こえてくる。見た目ばかりはどうしようもないが。。。同じ鍵盤楽器の練習にはなるらしく、指使いなどを覚えるのにも活用しているようだ。

 ユセフ氏に会うことができた。庭を歩いていたら、帰ってきたユセフ氏が私を見つけてくれた。昨日私が来たことを聞いていたらしく、歓迎してくれた。持ってきたものを手渡し、ポストカードからの支援金も手渡した。受領証を作ってもらい、帰るまでに用途計画書を作ってくれることになった。現在、ASCHIANAは、カブール市内に6つのセンターを持ち、約3000人の子どもたちに基礎学習から職業訓練まで幅広い教育をおこなっている。最近、北部の町、マザリシャリフに新しくセンターが開設されることになり、昨日はそのために現地に行っていたそうだ。これから先の計画について話をした。ASCHIANA基金のメンバーが、近く来訪使用としていることを伝えた。とりあえず、選挙のあとがいいよと。こればかりは、どこで話しても同じ回答だ。音楽クラスのパフォーマンスを見せてもらう日取りを決め、私が他のセンターを見て回るための手配もしてくれることになった。他のセンターでは、私が去年お願いしておいた絵画のプロジェクトがきちんと進行しているらしいのだ。早くみてみたい。現在のASCHIANAの詳細を教えてもらい、ずいぶんとプロジェクトが大きくなってきていることを知った。日に日に新しいことができるようになってきたよと、ユセフ氏もうれしそうだ。その反面、疲れも見え隠れする。一緒に昼食を食べながら雑談をしていた。「ところで、ずいぶん英語ができるようになったんじゃないか?」と。そういえば、2年前は全くと言っていいほどめちゃくちゃだった様な気がする。よくここにきたものだ。今は、たまに説明に窮するが、とりあえず別の言葉で何とかなる。しゃべれる人に比べれば全くダメダメなわけだが、まぁ、気長に覚えていこう。少しだが、ダリー語も覚えはじめている。

←現在      ↓2年前
 外に出ると、どこかでみたことのあるような女の子がいた。向こうも同じだったのか、しばらく顔を見合わせていた。「ヴィダ?」びっくりした。2年前は奔放な女の子といった感じだったが、今はなにやら落ち着いてきた感じがする。さすがに女の子に年齢を聞くことはできないので、今いくつなのかわからない。こっそり先生に聞いてみようかな。とにかく元気そうで何より。
←現在    2年前→
サルダールがいた。なにやらおにいさんになってるではないか。しかもなんだかかっこよくないか?髪型なんかキメちゃって。去年の夏に日本で会った時は、なんだかやせたような気がして心配だったが、とりあえず元気そうだ。授業の様子は、なんだかふてくされてるような感じもあった。反抗期かな?

←真ん中が食堂のオヤジさん。2年前も同じ顔をしていた。今も子どもたちに昼食を作ってくれている。

 

できたての食事を運ぶ少年。うれしそうだ。↑
←食堂は今や小さすぎて別の教室に移った。食事が運ばれてくるのを待っている。

 突然後ろから服を引っ張られた。振り返ると女の子がひとり。背がだいぶ違うのだが、彼女は私の顔を見上げてはいなかった。ただ正面を向いた状態で、私の服を引っ張ってきた。なんだろうと思って顔をのぞき込むと、ふっと目をそらしてしまう。ちいさな声で、「アイム、シャナーズ」と言った。「シャナーズ?」シャナーズといえば、シャナーズしかいない。私のポストカードにもなっている。とても印象的な女の子。去年の夏にも日本で再会している。しかし、私にはシャナーズには見えなかった。シャナーズの兄弟か何かかとも考えてしまった。思わず、「ほんとに?」とまで聞いてしまった。しまった・・・。彼女はふいっと歩いていこうとした。その時には、彼女がシャナーズだということは気がついた。私は、すべての神経が彼女に集中していたことをあとで感じた。なんていう表情をしてるんだろう。正直苦しかった。久しぶりに会えて、私はうれしいし、会いたいと思ってた。わざわざ私を見つけてくれて、自分から話しかけてくれたのに、なんて表情をしてるんだ。炎天下を忘れそうだった。

 このあと、ユセフ氏にシャナーズについて聞いた。ユセフ氏も、ため息をつきながら、「Her situation is really bad.」と。普段の会話の中でも「bad」という単語はあまり使わない。「not good」とかを使う。彼女は、父親も母親も、死んでしまっている。遠い親戚の家にいるが、普段は外で働いているという。多くの女の子は、家の中での仕事をしてお金を稼ぐ。彼女は外で働いているらしいのだ。

 彼女がいるクラスに行ってみた。一番前に座っていた彼女は、だまって私に椅子を用意してくれた。彼女のすぐ近くに座り、しばらく授業の様子を見ていた。すると、ちいさな声で、「トーモダチーニナルータメニー・・・♪」と、彼女が口ずさんだ。先生にも聞こえないくらいちいさな声で。思わず、「どーこのどーんなひーととも・・・♪」と続けた。「・・・キミトキミトキミトトモダチ♪」最後までちいさな声で歌った。すると彼女は、ちらっとこっちをみて、ほんの少しだけ笑った。おいおい〜。まるでドラマのようじゃないか!?正直泣きそうだったよ。まぢで。私は全然気づいていなかったが、となりにライロマが座っていた。今度は彼女が歌い出した。私もシャナーズも続く。今度は先生にも聞こえてしまったようだ。「♪友達になるために、人は出会うんだよ。どこのどんな人とも、きっと分かりあえるさ♪友達になるために、人は出会うんだよ。同じような優しさ、求めあっているのさ♪今まで出会ったたくさんの、君と君と君と君と君と君と君と、これから出会うたくさんの、君と君と君と君と友達♪」たぶん、この瞬間を一生忘れることはないだろうと思った。(※ライロマ、シャナーズ、サルダールをはじめ数人は、あしなが育英会のサマーキャンプで日本に来たことがある。この歌はその時に覚えたそうだ。2年前、私は彼らからこの曲を教わった。ただ、新沢さんが作った曲だったとは知らなかった。)

子どもたちがコップを洗っている。写真ではわかりにくいが、コップの縁が大きく欠けている。それなのに手でごしごしと洗っているのだ。手を切ってはしまわないかとハラハラした。落ちにくいところには、泥を付けて洗う。水はとっても冷たくて気持ちがいい。ただ、私には飲めない。彼女らは、蛇口から直接水を飲んでいた。顔も服もびしょびしょに濡れてしまうのだが、なんとも気持ちよさそうだ。私は、ぬるくなったペットボトルの水を飲んだ。

なにやらとっても楽しそう。いったい何がはじまるんだろう。

みんなでペットボトルに砂を詰めている。いったいどうするんだと聞いても、みんな教えてくれない。ただただ、うふふあははと笑ってる。みんなで10本分のペットボトルを集めると、4本、3本、2本、1本と、ちょうど正三角形になるように並べはじめた。そして登場したのは、手のひらサイズのバレーボールのようなボール。

はは〜ん。わかったぞ。そう、ボーリングだ。しかし、結構重たいペットボトル、ちょっとやそっとじゃ倒れない。なので、せいぜい1〜2本しか倒れない。チームを作って得点を競う。今日の最高得点は7点。その瞬間はみんな大騒ぎ。その写真がないのには理由があって、私も一緒に遊んでいて、写真を撮るのを忘れてしまったのだ・・・。たぶん、プロの写真家にはなれない気がした。

帰りに、路上で仕事をしている子どもたちを見かけた。見かけたと言っても、そこら中にいるわけなんだが。彼らの生活を、私はまだ、何も知らない。

事務所に戻ったのは5時過ぎだった。もうぐったりと疲れていた。しかし、運良く電気の使える時間帯。気力を振り絞ってこれを書く。けっこうつらい。7時になって、デイビットが夕食を持ってやってきた。ナンとチーズ。今夜はそれだけだ。ん?ASCHIANAの子どもたちの方が、良いものを食ってた様な気もするぞ・・・。今は23時。日本時間午前3時半。そろそろ発電機を落とすみたいだ。カメラの充電があとちょっとで終わる。私の充電は、電気が切れてからだ。明日のことは、明日考えよう。今日も疲れた。

お。電気が消えた。月明かりしかない。パソコンがバッテリーで動き始めた。この状態でパソコンをつけておくと、虫たちがよってくるので、かなりつらい。おやすみなさい。


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